『MOZU Season 1~百舌の叫ぶ夜~』Episode 3

前回書き忘れこと。新谷妹の部屋に入った人間たちが悪臭に鼻を覆うしぐさをして、視聴者を「げげ、人間様の腐乱死体が転がっているのか?」と恐怖させる場面があったが、妹の死体などはなく、ヤモリかなんかが串刺しになっているだけだった。あんな小型爬虫類の死体でも家じゅう臭くなるのだろうか?

今回は、前回に引き続き新谷が自分の正体を、倉木が爆破事件の真相を追いつづけるが、両人とももどかしさが勝った状態。グラークα作戦の内容は、まだ明かされない。名前の響きだけでも闇を感じさせる。

冒頭の「前回までのおさらい」は上手。
津城は、新谷は殺人犯ではないと言っている。真実なのか、美希か(間接的に)倉木を騙すための発言なのか?
品川徹が出てきた。声だけでそれとわかる役者さんだ。年取ってから仕事が増えた口だろうか。今後も活躍していただきたい。
このドラマは生瀬がくどくないところがいい。

新谷妹本体は出てこないのに、化粧品や下着はそれらしく揃っている。もしかして、新谷は一人二役なのか? まだらボケなもんで、原作のそういう肝心な部分を覚えていないのだが……。髭剃りがやけに丁寧なのも、女装する習慣からきているとか?

こう言っちゃなんだが、時流にさからってチェーンスモーカーぶりを発揮してきたハードボイルド・ヒーローが、タクシーの後部座席でシートベルトしてる姿には、若干のおまぬけ感が……。演出側もたいへんですなぁ。ほんとは人をぶったりピストルで撃ったりするのもいけないはずなんだが、刑法より道路交通法のほうが重要視される……虚構のドラマ世界は不思議がいっぱい。
それにしても、夜のトンネル、夜の幹線道路、暗い目をした刑事。好みの素材がそろっていて幸せだ。
原作の肉弾戦のかわりに車の衝突エピソードを入れてきたわけだが、中神と倉木が殴り合うのはだめなのか? そりゃいい年したおじさんがメリケンサックを持っていたらイタイ話だが、中神はすでにじゅうぶんイタイおじさんに見える。大物の一の子分にしては、やることがいろいろ軽すぎる。
いつになったら、新谷でなく倉木の身体能力アピールを見られるのだろう? 美希との立ち回りもおもしろかったが、命がけの戦いも見たいのだが。

倉木の血をきわだたせるための白一色の美希マンション。部屋を暗くすると壁に文字盤が映るタイプの置時計がおしゃれっていうか、実用性を云々しては野暮だな。
血まみれのタフな男と美女の組み合わせは、幅広い方々の嗜好にかなうものと思われる。期待したほど倉木が色っぽく見えないのは、西島氏がお年のわりに体を完璧に作りすぎているせいかな。綺麗なお部屋を血でべとべとにした上に、住人が目を離したすきにさっそくタバコをぷかぷかやりだす、なかなか身勝手なお方である。

「必要とあれば君は嘘をつく」
互いにすこしは惹かれていても、基本的には気を許さない大人の関係がよい。

女性ジャーナリストが新谷の実家を探索する場面では、神棚に最低三つはあるダルマが気になった。あれはひっかけなのか、それとも警察が問題視するダルマに関係があるのか? ああいうところですぐ悲鳴をあげる女の子はあまり歓迎できない。

ラストは、倉木がいかに娘を愛していたか、台詞なしで映像だけで語らせる演出。今後、家族愛表現の演出がどうなっていくのか見当がつかないが、さじ加減をまちがえるとハードボイルドどころか温泉卵になっちゃうので、どうか今のトーンが続きますように。

今回も、台詞、映像とも情報量が多くて満腹になった。
次回はコヒさんの津城俊輔が活躍するようで楽しみだ。ツキシュンスケって名前からしてかっこいいな!

合間にZ-KAIのCMが入ってなんともいえない違和感があった。まあ、こういうドラマに熱中する男性にも受験生の子供がいておかしくはないか。