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『神谷玄次郎捕物控』第二回『針の光』

切れ者の同心が、虐げられた者の復讐じみた犯罪を参考に、欲得ずくの犯罪をあばく話。
奥まった部屋の場面が多かった前回に比べると、野外や店先の場面が多く、開放的な印象が強い。今回はドーランが気にならなかった。

しょっぱなから男の毛脛を映すのはなんのサービスのつもりか、こういうのを何割の視聴者が歓迎するのだろうなどと思ったが、まあ、大人向け娯楽時代劇ですよ!の表明であろう。枕が二つ置かれてるけど、わざわざアップにはしなかったか。直後の死体検分が生々しい!

紙問屋で聞き込みを受ける番頭の後ろで黙々と働く奉公人、板前の手元を見て学ぼうとする下働き、朝のしじみ売り。捕物に直接関わらない市井の人々が、たんなる背景扱いより丁寧に配置されている。

店先で暴れる若侍を制する玄次郎がかっこいい。「おいおい血迷ってはいけませんな。ここは皆が楽しむところ。野暮な刀は納めなさい」「見ればお旗本の若様たち。この場のことをお目付けへ申し伝えましょうか? お目付けからは、あなた方のお父上に呼び出しがござる。そしてきつーいお咎め。それでよろしゅうござりますかな」。主人公は三十前の設定。近年の現代ドラマで、若者が気張らず怖気ずやんわり人をたしなめる場面にお目にかかった記憶がない。普通に仕事をする二十代の男のかっこよさは、もはや時代劇しか描けないのか? 
玄次郎が身分違いの結婚の難しさを語る。一度でも夢を持てた思い出を大切に生きていけばいい。さらりとした大人の知恵と思いやり。

最後の台詞が「やっぱ二階がいいな。お前は声がでかいからな」。で、思いっきり女に頬をつねられる玄次郎。なんですか、毎回エロ台詞で締めるのがこのドラマの決まりですか? 今回の脚本家は武末勝という知らない人だったが、古田求担当でなくとも二回続けて快調でよかった。

高橋光臣は柄が時代劇向きというだけでなく、余計な芝居をしないところがいい。予告の白鉢巻きに襷掛けがなんとも凛々しかった。彼と同世代の主演級が、あと五、六人これくらいできるようになれば心強いのだが。
黒川芽以は『陽だまりの樹』の武家娘もよかったが、今回の町娘のほうが合っている。今後大河に出るようなこともあるだろうか。梅雀が「髪結い」を「かみいい」と言っててさすがと思ったが、リピートすると「い」だか「ゆ」だかよくわからなかった。

この小粋で艶っぽい話が池波正太郎ではなく藤沢周平というのが意外。今のところ自分のなかで藤沢と湊かなえは、映像作品がおもしろくても原作を読む気にならない二大作家である。