『軍師官兵衛』の番宣のシッポと初回放送

今年の大河は前宣伝をかなり長めにやっていたようだ。5日のカウントダウン・スペシャルの最後1時間だけ見た。
片岡鶴太郎は、スタッフから「『仁義なき戦い』の金子信雄のノリで演じてくれ」と言われたとか。ちょっと興味がわいてきたぞ。鶴太郎のほうが岡田君より顔が小さいんじゃないかと思ったのは私だけか。
濱田岳の使い方に成功すれば、『風林火山』の伝兵衛クラスの良きコミックリリーフになりそう。
*脇に高橋一生が控えていると安心する。
*主役が奥さん以外の女の人に行っちゃうとがっかりするとかミーハーなこと言ってる女性アナに向かって、「跡取りを残すためにも昔は側室が必要だった」と説明する岡田君は偉いと思った。制作側が「妻一筋のイケメン官兵衛」をあまりに押すと、私は確実に視聴意欲が失せるであろう。


本放送。
野外シーンの映し方とか、ギリギリセーフ(?)な乱捕り場面とか、さすが『風林火山』の中村高志Pと田中健二Dがかかわっているだけのことはある迫力。「生きましょー」、「生きましょー」と小学校向け道徳教育みたいな主人公の台詞に耳をふさげば、そこそこ楽しめるドラマになる、か・も・し・れ・な・い。

ここ数年の大河は、ひょろひょろした感じの題字がどうも好きなれなかった。今年は、久々に力強さが感じられる。
磯部勉と上杉祥三が目をぎょろぎょろさせて軍議に出てると、もうそれだけで嬉しくなる。裏切り者がこの二人じゃなくて、囁き刑事だったのが意外。万吉の叔父を隆大介が演じているのも頼もしいが、公式HPでオミットされていて悲しい。
黒田家の来歴を和風ミュージカル仕立てで説明するところは、愉快。
人質にされたわが子を迎えに来た職隆が、「さあ、帰るぞ」とだけ口にする場面から、いわが万吉をひっぱたいて短慮を叱る場面までに味わいがあった。でも、「まっすぐに生きるのです」はあかんやろ。ものごとの表も裏もよく考えて、慎重に行動しなさいと諭さなければ。
おっかさんが死んだとたんに、心を入れ替えて勉学にいそしむ万吉。おととしの清盛にくらべて、なんという急成長! おりにふれ、兵法の書から引用することで、最低限の格調(?)を出し、テロップを出すことで視聴者も何言ってんのか理解できる、というなかなかよい手法。
信長役にはげしい違和感を持ったが……賑やかな作風の『軍師官兵衛』には向いているのかな。竹中直人はくれぐれもはしゃぎすぎないようにお願いしたい。
職隆が「武士は儀を貫くもの。利にさといのはあきんどでござる」みたいなことを言っていた(録画してないのでチェックできない)。ただ実直で頭の固い男なわけではなく、家がもとは薬売りだったからこそ、武士らしさにこだわっている、という設定に納得。

かなりの駄作でも、初回だけはすばらしい大河はけっこうある。『生き残りの掟』には、そこまでの興奮はない。冒頭に出てきた成人後の官兵衛の発言内容も、矢も鉄砲も全然当たらない主役無双ぶりも、今後ハードルを上げてはだめだと暗黙の了解を強いるような演出だった。

ちゃんと見続ければ、こんな豪華キャストを拝めますよ!みたいなうまい予告編。吹越満足利義昭は何かやってくれそうだ。タニショーはヅラが似合うし、時代劇演技も手堅いので、半兵衛が死ぬまでは視聴継続する可能性大。主演の岡田君はアクション能力が高いようだ。馬術は見事だが、刀をふりまわすシーンで軽い小道具使ってるのがまるわかり。殺陣指導の先生は「もう一工夫!」と言わないのか? しばらくは、NHK上層部や良識派に配慮した人道的脚本を使いつつ、合戦シーンなどで中村Pや田中Dがほんとにやりたいことをこっそり主張するパターンを楽しむとしよう。