来年のドラマ

『MOZU』(TBS&WOWOW)4月~夏
先週録画した『ダブルフェイス』再放送の前後に『MOZU』のPR映像がくっついていた!
80年代の空気が再現されているかどうかはわからず、とりあえず歩くメインキャラ3人のアップのみ。
脳内の原作倉木の容姿は、恰幅よくした真顔の筧利夫みたいな感じだが、今後は西島氏で塗り替えよう。
いい男が無精ひげを生やすと男っぷりが上がるなあ。あ、香川さんじゃなくて西島さんね。ここ数年の映画ドラマ鑑賞経験からすると、彼はたたずまいが魅力的な映画俳優で、どちらかというと"静"のイメージ。倉木役ではいろいろアクションも見せてくれるのを期待している。「俺は学生時代サッカーをやっていたんだ」と言って、つけてきた男に蹴りを入れるシーンはやっていただきたい。エロシーンは原作通りやれるわけないんだから、せめてバイオレンス面はがんばってもらわんと。
真木さんも、アバズレモードじゃなくてクールな女刑事風でよかった!
九割方、期待できそうなのはこの作品だけなもんで、たった数秒の映像で興奮しすぎである。

  
『血の轍』(WOWOW)1~2月
タイトル負けしない濃厚なドラマになるのかどうか見当がつかず、同じ相場原作の『震える牛』がいまいちだったのが不安だが、「刑事部vs公安部」という宣伝文句にそそられる。片方が被害者とか善とかいうより、二つの正義が拮抗する設定にした方が、話が幼稚にならなくて済む。谷原章介は民放で安い扱いうける分、NHKとWOWOWでやりがいのある役やって取り戻している印象。原田泰造は本業の人々に負けない立派な俳優なのでダブル主演ぶりが楽しみだ。篠崎絵里子は同局の仕事が続くなあ。今度の作品で一皮剥けてほしい。

 
足尾から来た女』(NHK)1月18~25日
なんとも硬派な社会派風な響きのタイトル。脚本担当の池端俊策は『太平記』や『あの戦争はなんだったのか』といった傑作をものするいっぽう、悪い意味で実にNHK的な『聖徳太子』を書いた人だ。明治の社会主義者や文人が多数登場する設定らしい。肉厚な人間ドラマになっていることを祈る。秋水たちが社○党の代議士みたいな薄っぺらいサヨクになっていませんように。巨悪に翻弄されるかよわい庶民ではなく「たくましく生き抜くヒロイン」が見たい。
成功すれば尾野真千子の代表作になりそうだが、援護射撃として『火の魚』の再再放送を! 気さくなおばちゃんとはまた違う、知性と教養をそなえた編集者の演技を全国のお茶の間に知らしめたい。

 
『桜ほうさら』(NHK)元旦
テレビ雑誌に"のんきな父さん"みたいな写真が出ていた。
佐野Pは『氷壁』ではじめて玉木に連続ものの主演をやらせたが、大河『篤姫』では「龍馬を思いっきり男っぽくやってもらいます」と予告しながら、田渕のオバサマのスイーツ趣味で八割方台無しに。今回は最初っから「お人よしの田舎者」で剣の腕はからっきしとな。極私的趣味で言わせてもらえば、ほとんど取り柄ないじゃん。それでは『妻は、くノ一』の彦馬さんだ。染五郎は本業で山ほど剣豪の一枚目などを演じてきたから、たまにゆるキャラやってもどうってことないだろうが、時代劇初主演の人がこれではなあ……。27歳で威圧感あふれる信長をやれた役者だけにかなり惜しい。30代に入って真島や義朝という渋い役に恵まれるいっぽう、ヘナヘナした役の比率がかつてより上がっていることがどうにも解せぬ。あきらかに義朝がきっかけで決まった役の発表はやはり来年以降か。
佐野Pは『薄桜記』や『酔いどれ小籐次留書』も手がけたのだから、今回もすこしはあの落ち着いたトーンを期待したいのだが。
大森美香の脚本の特徴は「男性主人公の場合は、きつい性格や気の強いキャラクターの二面性を描くことが多い」(Wikipedia)。今回はあべこべに、ラストで外柔内剛に持っていくのか? 時代劇の経験ない人のようだけど大丈夫なのか。
原作はいちおう読もう。現在熱中しているノンフィクション『狼の牙を折れ』(門田隆将著)‐‐こういうのやってほしいのに!‐‐との違いに慣れるまで時間がかかりそうだ。