『リーガルハイ』Vol. 3

三木法律事務所を大きなライバルとして原則一話完結で話が進んだパート1とは打って変わって、万人の幸福を目指す羽生一派と対決しつつ、1クールかけて謎めいた美しき死刑囚の訴訟を扱うパート2。正直、以前ほど熱中できないが、趣向を変えて楽しませようとするスタッフは偉い……と思うべきなんだろうな。

冒頭、古美門の嫌いな映画トップ3に入りそうな『ロッキー』のパロディーから始まるところが笑わせる。頭はいいけど性格は悪く、運動に関してはからっきし……って過去のドラマのヒーローたちと正反対だ、今さらだけど。
今回は、自分の不細工さに悩んできたからこそ、そして美人と結婚しないと容姿がまともな子供に恵まれないと信じるからこそ、整形の過去がある妻に離婚を請求する男の話。塚地はイケメンじゃなくとも愛嬌が売りの芸人で、美波はどこかアンドロイドっぽい美女。軽快な演出もさることながら、二人の個性も手伝って話が陰惨にならなくてよかった。

Mr. Win-winは「法は理想とともにあるべき」とのたまい、悪徳弁護士Kは「法は現実とともにあるべき。現実に即していない法など無意味だ」と断じる。現実に即していなければ実際の人間の生活がすこしでもマシな方に変わることもないのはあたりまえなのだが、偉い法律専門の先生方にときどきMr. Win-winみたいなのがいるから困る。

古沢さん、いつか恋愛結婚至上主義か、その根っこにある近代的ロマンチックラブ・イデオロギーを斬るような話も書いてくれないかな。近年はこの思想が大河まで浸食する始末で鬱陶しくてかなわん。

古美門がドラマファンの愛されキャラ(?)になっているのは、小劇団仕込みの堺の演技力もさることながら、彼が男性的エロスを感じさせない役者だからというのも大きい気がしてきた。今季は小雪の前で卑語を連発、卑猥なポーズを何度も取っているが、それが笑いを誘うだけでイヤな感じがしないのは、堺の持ち味の賜物だろう。

持ち味というと……岡田君は「無意識のうちに人を怒らせる天才」をやらせたらたぶん、今の若手でNo.1なのだろう。このドラマでも映画『謝罪の王様』でもその持ち味を最大に生かしており、役者としてうまくいっているわけだ。で、彼と、黒木嬢演じる、鳥取産なのにジェーンとか名乗っちゃってる女弁護士の組み合わせが画面に登場するたび目をそらしたくなる衝動に駆られる。でもってこの二人の鬱陶しさを緩和するのが古館寛治という、実に信じがたい事態が発生していて、毎週妙な気分にさせられる。

小雪に「ブタ野郎」などと言わせる脚本が、まー好き放題だなという感じで、また来週もそこそこ楽しみだ。彼女が前回罪を認めたのは、誰かに命を狙われているからなのか? あるいは隠し子かなんかを人質に取られている?