第40回『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

『リバースエッジ大川端探偵社』でうらぶれた男を好演した岩井秀人。以来気になる存在だったが、今回は肝心な時にアキレス腱を切って演説が出来なくなる外交官、北原英雄がはまりすぎていた。「デゾレ」連発が気の毒ながら、演出の妙もあってかすかにおかし…

『いだてん』いよいよ最終章!

次回のサブタイトルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』!田畑政治・後編への期待止まず。信長も龍馬も出てこないけど、魅力的な男女が織りなす人間模様と日本が、そしてときどき世界が動くさまが生き生きと伝わってくる。今のところ残念な回はゼロである…

『ピュア! ~一日アイドル署長の事件簿~』(全3話)

今年のお盆シーズンは『いだてん』以外の総合番組全滅……ではなく、セのつくものと無関係なドラマならと期待していた。昨年の大傑作『満願』のようなゾクゾク感は味わえずとも、不愉快ではないひと時を過ごすことができた。この調子で今夜も明日の晩も飛ばし…

『いだてん』息切れせず

7月に入ってからも箸休めの回やら残念な回やらがまったくない。歴代の傑作大河の中でも、なかなか稀なことではないだろうか。 第28回『走れ大地を』「実はな、記者を辞めようと思う。新聞なんて無力だ。いくら得意になって政府を批判したところで、庶民の暮…

上半期の映画

『マダムのおかしな晩餐会』(監督:アマンダ・スティール)階級社会フランスを舞台にした有毒成分高めのコメディ。リッチなマダムの強引さにドン引き。最後をポジティブに終わらせたいにしても、若干無理のあるエンディングと感じた。 『ヴィヴィアン・ウェ…

『いだてん』第27回『替り目』

とっくに折り返したのにと思ったが、今回が本当に主役の替り目だった。クドカン&大根仁のコンビにしてはしんみりしちゃったなと思ったが、しんみりついでに人見選手の最期を入れなかったのは見識。前回がりっぱな『人見絹枝の一生』で、若くして亡くなったこ…

『いだてん』第二部も快走つづく

『いだてん』の何がいいって、ドラマ全体にタイトルどおりの疾走感や生命力があふれているところである。さらっと見てもおもしろいし、再見すればいつも新しい発見がある。クドカン本人が全然エラソーじゃないしインテリぽくもない(失礼!?)ので作品自体も単…

コメディ・ドラマ

『おしい刑事』おもしろそうな企画だなあと思っていたのだが……演出のテンポがコンマ数秒、自分の生理と合わなかったらしく第一話でリタイア。 『大富豪同心』豪商が財力に物を言わせて孫の卯之吉を奉行所に就職させる。お孫ちゃんは、賊を前にすると恐怖のあ…

『いだてん』第11回『百年の孤独』

月刊TV雑誌"TVnavi"では第11回は『威風堂々』と記載。負けたりとはいえ堂々たる走りを見せた弥彦にふさわしいけれど、『百年の孤独』はより深みがあってこれでよかった。「日本人に短距離は無理だ。百年早い」と語る彼に、「後輩たちが400mリレーでメダルを…

『まんぷく』残すところあと2週間

ラーメン好きの家人が好んで録画チェックするので、つきあい視聴。初めのうちは時々おもしろい昭和コントという印象だったが、折り返し地点あたりからだんだんおつきあいが苦痛になり、最近はカップラーメン製造工程のネタだけが救。ハキハキ歌うのが身上の…

『女川 いのちの坂道』

実在の"女川1000年後の命を守る会"の活動をもとに、復興半ばの街と青年たちをとらえたドラマを、ロードムービータッチで描くフィクション。NHKは昨年からドローンをフィーチャーしたドラマ作りが目に付く。今回は咲の家があった場所から一気に上昇するアング…

『女川 いのちの坂道』

実在の"女川1000年後の命を守る会"の活動をもとに、復興半ばの街と青年たちをとらえたドラマを、ロードムービータッチで描くフィクション。NHKは昨年からドローンをフィーチャーしたドラマ作りが目に付く。今回は咲の家があった場所から一気に上昇するアング…

『ベトナムのひかり~ボクが無償医療を始めた理由~』

日本とベトナムを往復しながら、日本ではフリーの眼科医として稼ぎ、ベトナムでは無償医療を続ける実在の医師をモデルにしたヒューマンストーリー。 歌、画面とも美しい冒頭の数分間とクライマックスが見事に呼応する佳作である。適度な笑いをちりばめつつ、…

小河ドラマ『龍馬がくる』(時代劇専門チャンネル&カンテレ)

おおいに笑えて脱力する"非"本格派時代劇。30分(実質20分前後)×4話構成。"人生最後"の龍馬を演じる武田鉄矢本人の前に、本物の龍馬(三宅弘城)がタイムスリップしてくる。本物は、偉人伝に描かれた人物像とはまるで違う情けないところが多いけれど、ノリ…

『家康、江戸を建てる』

将軍みたいなお名前の門井慶喜の原作は未読。昨年の『風雲児たち~蘭学革命篇~』に続いて、合戦ものではない単発時代劇が正月に放送された。治水は太古の昔から統治者が直面する大きな課題だった。家康についてはまったく不勉強な当方だが、いろいろ知れば…

『母、帰る~AIの遺言~』

作者の言葉……三國月々子 およそ人生にまつわるあらゆることに正解は見つかりません。そこにあえて、常に明確な回答を提示するAIを置いたらどうなるか……。 抱えた矛盾をぶつけあう家族たちが「それでも」と顔を上げてお互いを見る。そんなささやかな物語を生…

『いだてん』第1回『夜明け前』

祭りが始まった! 大友良英の疾走感のある音楽。明治の溌剌感とか大正モダンとか戦後の高度成長期の明るさとか、いろんなものを感じさせる横尾忠則の絵作りも楽しい。紆余曲折はあっても、「スポーツって楽しいもんだ」、「オリンピックっておもしろいもんだ…

今年の国内ドラマ

民放の連ドラでリアル視聴したのは『コンフィデンスマンJP』のみ。古沢節は健在だったものの、『リーガルハイ』第一部や『デート』に比べると、コンマ数秒自分好みのテンポより遅かったり、どんでん返しがしつこく感じられたりで、永久保存する気にはなれず…

今年の海外ミステリ追加

鳥頭が感銘を受けた作品を二つ思い出した。 『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』(2012年BBC2) イギリスの警察署内の不正を捜査するAC-12に配属された男がじわじわと汚職警官を追い詰めたりネチネチといたぶられたりするお話。 ここに注目その1:映画出…

今年の海外ドラマ

不覚にも北欧の作品をチェックしそこなった。鳥頭ゆえ、直近のものから覚えている範囲でさかのぼって列挙を試みる。 『無実はさいなむ』(2018年BBC)不安をあおるカメラワーク、達者な俳優陣、(たぶん)原作からの巧みな逸脱。登場人物の過半数がいやな奴な…

『フェイクニュース』

ドキュメンタリーに関しては日本よりましなおふらんすやアメリカやオランダ制作でも、フェイクニュースが絡むと我田引水なしろものしか見たことがない。"フェイク・フェイクニュースドキュメンタリー"のオンパレードである。善男善女が怒ったり呆れたりして…

『未来を花束にして』(監督:サラ・ガブロン)

シネフィルWOWOWで視聴。 最後に"世界の国名"とそこで婦人参政権が認められた年が延々流れる。東アジアは中国以外はシカトであった。性差別はだめでもアジア差別はOKですか。 東アジアは総スルーにしたかったけど、チャイナマネーの御威光に屈しただけ? 原…

『西郷どん』第37回『江戸無血開城』

「慶喜を将軍に推すために輿入れしたのに、今は慶喜を倒せと頼んでいる」と語る天璋院。ここまで毎回見ていれば、感慨を持てたかもしれない。景子ちゃん、よくがむばった! 室内シーンで、葵の紋をかたどった欄間が映ったのには心躍った。ありえない西郷と慶…

『60分特番 岡田准一×監督:木村大作が語る"美しい時代劇"ができるまで』(時代劇専門チャンネル)

楽屋話はスタッフに限ると思ってきたが、今回の監督&主演の対談はテクニカルな話題も多く、おもしろかった。 監督のワンシーン、ワンカットの希望を叶えるために、岡田が立ち回りを考え直したあたり、すごいな。デューク真田もいい加減一度、帰国したらどう…

『散り椿』(監督:木村大作)

ストーリーに関するネタバレはほとんどなし。 木村監督による美しい撮影、だれない演出、岡田考案&実演による見事な殺陣、十六頭立ての馬の疾走シーン。オールドファンには嬉しい時代劇だった。主人公の妻の真意を解き明かすミステリ映画にもなっている。「…

三連休中のドラマ

『乱反射』石井裕也が脚本演出というのに惹かれて録画。期待以上のおもしろさであった。 ブリタニカ国際大百科事典小項目事典によれば、「乱反射:物体の表面がなめらかな面でないとき、その凹凸のために入射した光が,いろいろな方向に反射散乱される現象。…

『不惑のスクラム』第1回『老いてなおヤンチャであれ!』

「ラグビーは後退しながら前に進む。まるで人生みたいじゃないか」 画面のなかでいい風が吹いている。あまり予備知識は仕入れず、『不滅のスクラム』と勘違いして見始めたが、期待を超える第1回だった。先日の『太陽を愛したひと』からスポーツが絡むよいド…

『太陽を愛したひと』(NHK総合)再放送決定!

9月1日(土)午後3時5分~4時15分に再放映 昨日やっと録画をチェックしたばかり。年内に午後8時台に再放送してより多くの人に見てもらいたいと思ったが、ずいぶん早くに再放送が決まって何より。 今月は『満願』(NHK総合)に心臓をわしづかみにされたが、『太…

『西郷どん』第三十二回『薩長同盟』

二月で早々に挫折したにもかかわらず、役者だけは見逃してはもったいないという風評につられて今月からおめおめとカムバック。一番よいのは撮影班という印象だ。富貴が部屋にたたずむ光景はいつも美しいし、室内の対話場面など音を消していたらまるで重厚な…

『BORDER』(テレ朝チャンネル1)再放送終わる

聞きしに勝る快作で満足満足。堪能した『MOZU』でさえダビングが億劫で結局やらずじまいだったが、このドラマはダビングしてもいいかなという気分。 放送前からプロットはすべて決まっていたとかで、大人の事情で路線変更しましたみたいな事態が起こらず祝着…