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『重版出来』第9話

心が「私をヒロインの参考にしても」と申し出るのを、「それはちょっと」と却下する中田がおかしい。でも、街をぞろぞろ歩く今時の女の子たちを眺めてもピンとこない。で、アユを一目見て、無意識に描こうとしていたタイプだと気づく。創作の神が与えたかの…

大河ドラマ『真田丸』プレミアムトークショー(雑な備忘録)

日時:2016年6月5日 午後2:30~3:45会場:ホテル日航熊本、中宴会場『天草』出席者:500名前後(県外からの来訪者が1割前後)講師:新井浩文 と銘打っていたが、新井浩文を中心に(屋敷陽太郎Pと田中正Dにも)女性アナウンサーが大河の話を訊く、という体。…

『重版出来』残りわずか2回!?

原作未読。野木亜紀子の脚色力が抜群である。ほんとうに表現したいものがあって台詞を選び、あるいは作り出しているのが伝わってくる。出版社がらみのお仕事ドラマ、そして質で仕事を選ぶオダギリジョー出演ということで見始めた。今年の民放としてはマイベ…

『真田丸』第19回『恋路』

愛する女に「私は日の本一、幸せなおなごでござりました」と言って死んでほしいと願う秀吉。最終回に向けての最大の興味の一つが、茶々の最後の台詞になった。秀頼に向かって「わらわは日の本一、幸せな母じゃ」と言わせるのか、家臣が家康への恭順を説くの…

『ダウントン・アビー4』第9回『社交界』

イギリスの映画やドラマは、アメリカ人を田舎者あつかいするシーンになるとますます冴えてくる。今回は何度も声をあげて笑ってしまった……にしても、ハロルドの造形はやりすぎではないか? あるいは彼に「イギリスに文句は言わないよ。ぬるい風呂とか、ぬるい…

『真田丸』好調続く

第9回『駆引』鷹に俯瞰させる形で、期間はわずか五ヶ月弱ながら濃密極まりない"天正壬午の乱"の終結を描いた。どれほど昌幸が策を弄しても大大名たちには叶わない。国衆の悲しさゆえのようにも、昌幸自身の思考法に問題があるゆえのようにも感じられるように…

『真田丸』第8回『調略』

久々におふざけシーンが少なく、また"本来の"直江兼続の言動もふくめて大河ファン歴史ファン待望の調略劇が描かれ、少なからぬ視聴者に至福の時が訪れた夜だった。 ちょっと笑えたのは、お仕事内容を勘違いしている脳筋おにいちゃんとしっかり者の梅との会話…

『真田丸』第7回『奪回』

およそ三谷幸喜くらいマチズモからかけ離れたイメージの脚本家もいないし、今年の大河の演出風味は、硬硬軟軟硬軟軟……みたいな感じだが、大名も国衆もおのが勢力範囲を拡大するため生き残るために、優しさなんぞとは無縁のところで知力胆力をつくして戦うド…

『逃げる女』終わる

梨江子が乗った電車がガタンゴトンと走り、エンディングテロップが流れる。このあたりで、本当に作り手が"逃げない"ドラマを見せてもらったとあらためて思い、青空と雲の塩梅が理想的な空の下、浜辺に立つ二人の女の後ろ姿を見て、黒崎Dは映画に負けないもの…

『ダウントン・アビー4』第4回『ロンドンの一夜』

大邸宅"ダウントン・アビー"を舞台に繰り広げられる群像劇も早や第四シーズン。巷で言われるほど格調高いお話ばかりではなく下世話なネタが多かったのだが、今シーズンはかなりどぎつい展開になってきた。とりあえず、グリーンをヤツメウナギの沼に放り込み…

『真田丸』第4回『挑戦』

噛みごたえのあるダイアローグ! 今回はこれに尽きる。昌幸が織田にはったりかますつもりで書いたインチキ手紙の真相を、三方ヶ原で蹴散らした相手、家康が暴こうとする。重厚なムードの有無はさておき、狸親父の化かし合いの内容は『太平記』レベルだった。…

『ちかえもん』第3回『放蕩息子徳兵衛』

画面がにぎやかで目に楽しく遊び心のあるBGMが耳に楽しいドラマだ。磯部磯兵衛が漫画よりもそっと能動的で文才のある五十男になったらかくや、と思わせるちかえもん。彼が頭のなかで、ああでもないこうでもないと創作世界をいじくりまわす場面が愉快だ。アニ…

『真田丸』第3回『策略』

脚本家が書きたくて書いている題材だから大きな不安はなかったが、コメディパートの悪乗りや過度な現代風味だけは勘弁してほしいと思っていた。意外なことに、極太陰険大河『草燃える』(再放送録画視聴)でさえ、北条政子の妹たちが「お姉さまってば、聞い…

『フラジャイル』

ひどくつまらないわけではないのだが、"長瀬ドラマに外れなし"の文言が当てはまるほどおもしろくもないので、2話で脱落。 第1話は30分につき1事件(?)解決するスピード感重視、第2話ではじっくり1時間かけて一つの症例を解明。しゃべってる役者にもテレビの前…

『逃げる女』第3回『壊れたままの幸福』

慣れ合いがない、台詞や涙に頼るくどい説明がない、人と人とが近づく時には緊張感があり、二者の間には安易に越えられないラインがある。 公式HPではサスペンスと銘打っているようだが、自分にとっては久々のハードボイルドの佳作だ。鎌田敏夫の過去の連ドラ…

『真田丸』第1回『船出』

にやけちゃだめだ、にやけちゃだめだ、にやけちゃだめだ…… 『花燃ゆ』でさえ初回には光るところがあったし、『軍師官兵衛』だって7回くらいまではそこそこおもしろかった。終盤失速した『八重の桜』も初回は重厚かつ繊細で、ついに本格大河完全復活かと思わ…

正月時代劇 『吉原裏同心~新春吉原の大火~』

近年の正月時代劇では、主演のうまさと作品のまとまり具合で『御鑓拝借~酔いどれ小籐次留書~』(2013年、竹中直人主演)が一番印象に残る。 今作は、行方不明の女たちを探索する過程がすっとばされ気味なのと、CGが発達したからこその焼け跡現場再現にして…

『あさが来た』日本女性の恋人登場

朝ドラも半分終了。現在日本で(その人が載っているお札が)一番人気の福沢諭吉の登場は気になっていた。彼も無事無事登場したし、いちおうこれにて視聴終了。以下、異常長文注意。 11月上旬と現時点をくらべると、極私的評価は上出来ドラマから"ドーナツみ…

『杉原千畝 スギハラチウネ』(チェリン・グラック監督)だらだらメモ

ネタバレあり。シネフィルの「予告から想像するようなお涙ちょうだいじゃない、上出来の諜報ドラマだ!」とのつぶやきに影響されて鑑賞。監督は日本生まれ、日本育ちの日系アメリカ人。父はユダヤ系米国人、母は日系米国人。 ・冒頭からアクションシーンで引…

ドラマ、ゆく年くる年

今年は『64(ロクヨン)』、『洞窟おじさん』、『経世済民の男』シリーズ、『天皇の料理番』、『大杉探偵事務所~砕かれた過去編』がほぼ横並びのベスト5。次点で『一番電車が走った』。『料理番』は最近の大河に欠けた部分を描いているところが好きだった…

師走の時代劇

今年はBS時代劇『神谷玄次郎捕物控2』(高橋光臣主演)がダントツ、あとは木曜時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳~』(福士誠治主演)くらいか……と思っていたら、今月は予想外の時代劇サービス月間だった。来年公開の映画『真田十勇士』(堤幸彦監督)では、…

『大杉探偵事務所~砕かれた過去編』

『64(ロクヨン)』、『経世済民の男』シリーズ、『洞窟おじさん』。今年のドラマはNHKの一人勝ち状態だったが、本作はそれに迫る力作。精神的にダメージを受けたくないときには絶対に見てはいけないハスミ・ノワールの佳作だ。劇場版と同じくPG12にしてもよ…

今季の連ドラ

『おかしの家』地上波はこれ一択。石井裕也が描く、おおむね優しくときに残酷な寓話的世界。なんといっても柳田裕男(撮影)の作り出す画面が温かい。フィルム撮影なのかと思ったが、たしかめる術なし。いつつぶれてもおかしくない駄菓子屋の裏庭でだべる男…

『劇場版 MOZU』(監督:羽住英一郎)

(ネタバレなし)シーズン2でストーリーが破たんしたので映画はスルーと思っていたが、映画館ならではの轟音と迫力のある絵を楽しむために鑑賞した。土曜の午後だってのに、興行収入二週連続第一位の映画にしちゃ客の入りが50人ぽっちで、田舎で残念。せっか…

『あさが来た』6週と2日経過

『あさが来た』はひと言で表すならまぎれもないプロの職人芸だ……好き嫌いはともかくとして。 どんなドラマを展開するのか方向やルールが明確で、メインストーリーはわかりやすく、話のつじつまが合い、道徳的な不快感はなく、知的な緊張感を強いることはなく…

『大杉探偵事務所~美しき標的編』

予想以上に愉快なメタ・ドラマ。スタッフがMOZU本編、刑事ドラマ、ハードボイルド、芸能界などの素材で好き放題遊んでいた。ゴールデンにこんな自由がまだあるのかとちょっぴり驚いたり、TBSはドラマに愛があるのだなと思ったり。脚本担当の仁志光佑は――本人…

『あさが来た』お師匠さんの出番が少ない件など

コミカド弁護士のご高説を聞かずとも、朝ドラは自分向きではなさそうなので、過去に見たのは三作品のみ。ダントツに好きなのは変化球と言われた『あまちゃん』、二番目に好きなのは朝ドラにしてはヒロインの柄が悪いと言われた『カーネーション』。『マッサ…

『洞窟おじさん』完全版始まる

13歳で親の虐待から逃れ、43年間サバイバル生活をしていた男の半生 という情報を先に聞いていたら食指は動かなかったが、7月に番組PRを見かけ、オノマチが出ているならと2時間版を見て……大正解だった。いくらでも湿っぽく演出できる話ながら、かなり抑え目の…

超低速! 『鬼と呼ばれた男~松永安左エ門』感想

予想どおり鋼太郎がウルサイウルサイ。松永のキャラクターも強烈なだけで特に魅力的というわけでもなかったが、画面の絵作り、音、物語とも、三作中もっとも力強いドラマだった。しいて言えば、『是清』の魅力はしみじみした味わい。『一三』の魅力は軽妙な…

超低速! 『小林一三~夢とそろばん』感想と大河ネタ

「森下佳子はオリジナルだと失敗する」説を聞いていたので、恐る恐る鑑賞……が、オリジナルだけどおもしろかった。主人公の思考と行動をしっかり脈絡をつけて描き出す脚本もよかったが、それ以上に梛川善郎の演出が強烈で、やたらとミュージカルじみたシーン…

『経世済民の男』シリーズ『高橋是清』の感想と『おかしの家』への期待など

高橋是清が生きた80余年を、二時間で一気に駆け抜けた。「財政の天才」の側面を存分に描き切ったとは言いがたいが、政財界の要人たちとの折衝、女や子、孫たちとのあれこれをかいつまんでおもしろく見せてくれた。前編より後編のほうが勢いがあったように感…

お盆の娯楽

汁気過剰の糾弾バラエティー『反日どうでしょう』が横行する休暇シーズン。とりあえず5本のテレビ番組を視聴。2本はたいへんおもしろく、1本はかなりおもしろかった。 1.『キャンプX 実録・スパイ養成学校』(AXNミステリー)カナダ製ドキュメンタリー。二…

『玉音放送を作った男たち』

ドラマのおもしろさは、何を描くかと同じくらい、どう描くかで決まる。落ち着いた色調、品のいいBGM、扇情的ではない進行のテンポとも、歴史ドラマの鑑と言っていいような演出だった。台詞のレトリックは魅力的であり、台詞のない場面の演出も雄弁だった。脚…

『天皇の料理番』の登場人物と名優たち

「とりあえず夫sage妻ageしとけば基礎視聴率7%はチョロい」みたいなさもしいテレビ屋根性をにおわせることなく、どの登場人物も敬意をもって造形されていた。平成風の恋愛結婚だけが男女の幸福な結びつきでないってことを、達者に描いていたのだが……大河のP…

『天皇の料理番』終わる

(原作未読) 縮こまったところのない、気持ちの良いドラマだった。 まことに若く小さな国でフランス料理と出会った悪たれが才能を開花させ、二代に渡って天皇に仕え、八十を超えて引退する。見事な男の一代記だった。 主人公に秀でた才能がなく野心がなく攻…

下半期一番の期待作

『神谷』と『64』に匹敵するレベルを見せてくれるかも、と期待しているのが、現代ドラマと時代劇の中間みたいな時期を対象とした夏の特別ドラマ『経世済民の男』3部作(NHK総合)である。 一番楽しみなのが、ジェームス三木脚本、オダギリジョー主演の『高橋是…

今年の時代劇ドラマ

今後はもう『神谷玄次郎捕物控2』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『ふたがしら』(WOWOW)NHK以外で――正確には朝ドラと大河以外のNHK以外で――唯一、質を追求できるチャンネルとして、時代劇にも挑戦してほしいけれど、新参者には無理か………

6月以降の現代ドラマ

今年はもう『64(ロクヨン)』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『民王』(テレ朝)エンケン、もしかして『湯けむりスナイパー』以来の主演か? ゴールデンなんかより深夜枠のほうが質的にマシに決まっている。彼が総理大臣とは若干荷が…

5月29日BSプレミアム『風の果て』再放送スタート

藤沢周平原作。2007年は時代劇の当たり年だった。大河は『風林火山』でひさびさに質的に盛り返したし、木曜時代劇には『風の果て』があった。『蝉しぐれ』ほど格調高くなく、『神谷』ほどチャンバラはない。土木工事の計画立案から完了までの苦労とか、婿入…

『神谷玄次郎捕物控2』最終回『日照雨』

振り返ってみれば、パート2は悪い奴をふんじばってめでたしめでたしパターンが一つもなく、最終回もやりきれない事件だった。 「助けを呼ぶか?」「めんどくせ」は高橋光臣がかっこよかった。その後の「てめーらも獄門にかかりてえのか!」は山崎樹範がかっ…

『64(ロクヨン)』第5回『指』

D県 58万世帯 182万人 続いて公衆電話のアップ。 なぜ、人口だけでなく世帯数も出したのか、全話見終わってその重みがずしりと感じられる。そして公衆電話の意味も。 前回の台詞の「14年前の翔子ちゃん事件」を聞かせることで、視聴者にこれは14年間の物語な…

『神谷玄次郎捕物控2』第七回『小ぬか雨』

かっとなって毒婦を殺してしまった新七と、がさつな職人との結婚を控えたおすみの束の間の恋。こんな小ぬか雨が降る日には、惚れた男とすごしたひと時を思い出すのだから、おすみの人生も真っ暗ではないと語るお津世。薄闇に一つだけ火が灯っているような、…

『64(ロクヨン)』第4回『顔』

役者の柄や力量の問題もあって記者クラブの面々が他と比べて軽すぎるのが不満だったのだが、東洋新聞本社の記者として堀部圭亮が投入されたので、画面の重みといやらしさがぐっと増した。「サツにどんな教育してんだ」がまるで無自覚なヤクザだ。疑問点をま…

『神谷玄次郎捕物控2』第六回『鬼ごっこ』

今回は金田明夫がゲスト。飯富さん(金田)と馬場さん(高橋和也)が一緒に出てきて『風林火山』再来か!と期待したが、そんな場面はなかった。金田の控えめで渋い芝居を堪能した。 『神谷』パート2は第六回にして二度目の「悪党の密談を目撃した女が狙われ…

『神谷玄次郎捕物控2』第五回『神隠し』

小間物屋・伊沢屋の若い女房お品(宮本真希)が出かけたきり三日も帰ってこない。ところが番頭の庄七が銀蔵に相談した矢先、四日目にしてお品が帰ってくる。お品は家を空けた三日間の記憶が無いと言い、主人の新兵衛(渡辺いっけい)も、これは神隠しに違い…

『64(ロクヨン)』第3回『首』

この緻密に作られたドラマのカットを数えてみようとしたが、5分で挫折。シーンを数えることにしてみたところ、「あと3日」の字幕が出るまでの7分間で、回想される三上自宅、屋外、署内、雨宮宅が合計12、現在シーンが、広報室、屋外、署内廊下、階段で合計…

『64(ロクヨン)』第2回『声』

記者を前にしても、警務部にいても、刑事部に行っても、民間人のところへ行っても、家に帰っても、疎外感と板挟みのストレスをため込んでいく三上。第1回は視聴者が雨宮の地獄を追体験させられるような作りだったが、今回は主人公の四面楚歌&24時間サンドバ…

どっちが大河?

『花燃ゆ』第17回『松陰、最期の言葉』録画視聴。実質上の上三半期の主人公が退場したというのに、この感慨のなさはなんぞ? 主人公(仮)の文は、兄の論理を理解できなかったのはしかたないにせよ、情においても濃いつながりがあったようにも見えないのが困っ…

『神谷玄次郎捕物控2』第四回『密告』

前二回とはまたちがった方向のどんよりエピソードだった。いつもと毛色がちがうと思ったら、脚本が中村勝行、演出が酒井信行。玄次郎が脳内で謎解きする時間が長く、江戸ものらしい風俗描写に費やす時間が短かったが、たまにならこういう趣向もいい。ただし…

『千年の愉楽』(監督:若松孝二)

TVでノーカット放送を視聴。R15+相当扱いだが、扇情的な描写は避けられている。 紀州が生んだ鬼才・中上健次の代表作『千年の愉楽』を、若松孝二が映画化。舞台となったのは、眼下に美しい尾鷲湾を見下ろし、背後には紀州の深い緑が連なり、斜面に建つ趣ある…