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『真田丸』第3回『策略』

脚本家が書きたくて書いている題材だから大きな不安はなかったが、コメディパートの悪乗りや過度な現代風味だけは勘弁してほしいと思っていた。意外なことに、極太陰険大河『草燃える』(再放送録画視聴)でさえ、北条政子の妹たちが「お姉さまってば、聞い…

『フラジャイル』

ひどくつまらないわけではないのだが、"長瀬ドラマに外れなし"の文言が当てはまるほどおもしろくもないので、2話で脱落。 第1話は30分につき1事件(?)解決するスピード感重視、第2話ではじっくり1時間かけて一つの症例を解明。しゃべってる役者にもテレビの前…

『逃げる女』第3回『壊れたままの幸福』

慣れ合いがない、台詞や涙に頼るくどい説明がない、人と人とが近づく時には緊張感があり、二者の間には安易に越えられないラインがある。 公式HPではサスペンスと銘打っているようだが、自分にとっては久々のハードボイルドの佳作だ。鎌田敏夫の過去の連ドラ…

『真田丸』第1回『船出』

にやけちゃだめだ、にやけちゃだめだ、にやけちゃだめだ…… 『花燃ゆ』でさえ初回には光るところがあったし、『軍師官兵衛』だって7回くらいまではそこそこおもしろかった。終盤失速した『八重の桜』も初回は重厚かつ繊細で、ついに本格大河完全復活かと思わ…

正月時代劇 『吉原裏同心~新春吉原の大火~』

近年の正月時代劇では、主演のうまさと作品のまとまり具合で『御鑓拝借~酔いどれ小籐次留書~』(2013年、竹中直人主演)が一番印象に残る。 今作は、行方不明の女たちを探索する過程がすっとばされ気味なのと、CGが発達したからこその焼け跡現場再現にして…

『あさが来た』日本女性の恋人登場

朝ドラも半分終了。現在日本で(その人が載っているお札が)一番人気の福沢諭吉の登場は気になっていた。彼も無事無事登場したし、いちおうこれにて視聴終了。以下、異常長文注意。 11月上旬と現時点をくらべると、極私的評価は上出来ドラマから"ドーナツみ…

『杉原千畝 スギハラチウネ』(チェリン・グラック監督)だらだらメモ

ネタバレあり。シネフィルの「予告から想像するようなお涙ちょうだいじゃない、上出来の諜報ドラマだ!」とのつぶやきに影響されて鑑賞。監督は日本生まれ、日本育ちの日系アメリカ人。父はユダヤ系米国人、母は日系米国人。 ・冒頭からアクションシーンで引…

ドラマ、ゆく年くる年

今年は『64(ロクヨン)』、『洞窟おじさん』、『経世済民の男』シリーズ、『天皇の料理番』、『大杉探偵事務所~砕かれた過去編』がほぼ横並びのベスト5。次点で『一番電車が走った』。『料理番』は最近の大河に欠けた部分を描いているところが好きだった…

師走の時代劇

今年はBS時代劇『神谷玄次郎捕物控2』(高橋光臣主演)がダントツ、あとは木曜時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳~』(福士誠治主演)くらいか……と思っていたら、今月は予想外の時代劇サービス月間だった。来年公開の映画『真田十勇士』(堤幸彦監督)では、…

『大杉探偵事務所~砕かれた過去編』

『64(ロクヨン)』、『経世済民の男』シリーズ、『洞窟おじさん』。今年のドラマはNHKの一人勝ち状態だったが、本作はそれに迫る力作。精神的にダメージを受けたくないときには絶対に見てはいけないハスミ・ノワールの佳作だ。劇場版と同じくPG12にしてもよ…

今季の連ドラ

『おかしの家』地上波はこれ一択。石井裕也が描く、おおむね優しくときに残酷な寓話的世界。なんといっても柳田裕男(撮影)の作り出す画面が温かい。フィルム撮影なのかと思ったが、たしかめる術なし。いつつぶれてもおかしくない駄菓子屋の裏庭でだべる男…

『劇場版 MOZU』(監督:羽住英一郎)

(ネタバレなし)シーズン2でストーリーが破たんしたので映画はスルーと思っていたが、映画館ならではの轟音と迫力のある絵を楽しむために鑑賞した。土曜の午後だってのに、興行収入二週連続第一位の映画にしちゃ客の入りが50人ぽっちで、田舎で残念。せっか…

『あさが来た』6週と2日経過

『あさが来た』はひと言で表すならまぎれもないプロの職人芸だ……好き嫌いはともかくとして。 どんなドラマを展開するのか方向やルールが明確で、メインストーリーはわかりやすく、話のつじつまが合い、道徳的な不快感はなく、知的な緊張感を強いることはなく…

『大杉探偵事務所~美しき標的編』

予想以上に愉快なメタ・ドラマ。スタッフがMOZU本編、刑事ドラマ、ハードボイルド、芸能界などの素材で好き放題遊んでいた。ゴールデンにこんな自由がまだあるのかとちょっぴり驚いたり、TBSはドラマに愛があるのだなと思ったり。脚本担当の仁志光佑は――本人…

『あさが来た』お師匠さんの出番が少ない件など

コミカド弁護士のご高説を聞かずとも、朝ドラは自分向きではなさそうなので、過去に見たのは三作品のみ。ダントツに好きなのは変化球と言われた『あまちゃん』、二番目に好きなのは朝ドラにしてはヒロインの柄が悪いと言われた『カーネーション』。『マッサ…

『洞窟おじさん』完全版始まる

13歳で親の虐待から逃れ、43年間サバイバル生活をしていた男の半生 という情報を先に聞いていたら食指は動かなかったが、7月に番組PRを見かけ、オノマチが出ているならと2時間版を見て……大正解だった。いくらでも湿っぽく演出できる話ながら、かなり抑え目の…

超低速! 『鬼と呼ばれた男~松永安左エ門』感想

予想どおり鋼太郎がウルサイウルサイ。松永のキャラクターも強烈なだけで特に魅力的というわけでもなかったが、画面の絵作り、音、物語とも、三作中もっとも力強いドラマだった。しいて言えば、『是清』の魅力はしみじみした味わい。『一三』の魅力は軽妙な…

超低速! 『小林一三~夢とそろばん』感想と大河ネタ

「森下佳子はオリジナルだと失敗する」説を聞いていたので、恐る恐る鑑賞……が、オリジナルだけどおもしろかった。主人公の思考と行動をしっかり脈絡をつけて描き出す脚本もよかったが、それ以上に梛川善郎の演出が強烈で、やたらとミュージカルじみたシーン…

『経世済民の男』シリーズ『高橋是清』の感想と『おかしの家』への期待など

高橋是清が生きた80余年を、二時間で一気に駆け抜けた。「財政の天才」の側面を存分に描き切ったとは言いがたいが、政財界の要人たちとの折衝、女や子、孫たちとのあれこれをかいつまんでおもしろく見せてくれた。前編より後編のほうが勢いがあったように感…

お盆の娯楽

汁気過剰の糾弾バラエティー『反日どうでしょう』が横行する休暇シーズン。とりあえず5本のテレビ番組を視聴。2本はたいへんおもしろく、1本はかなりおもしろかった。 1.『キャンプX 実録・スパイ養成学校』(AXNミステリー)カナダ製ドキュメンタリー。二…

『玉音放送を作った男たち』

ドラマのおもしろさは、何を描くかと同じくらい、どう描くかで決まる。落ち着いた色調、品のいいBGM、扇情的ではない進行のテンポとも、歴史ドラマの鑑と言っていいような演出だった。台詞のレトリックは魅力的であり、台詞のない場面の演出も雄弁だった。脚…

『天皇の料理番』の登場人物と名優たち

「とりあえず夫sage妻ageしとけば基礎視聴率7%はチョロい」みたいなさもしいテレビ屋根性をにおわせることなく、どの登場人物も敬意をもって造形されていた。平成風の恋愛結婚だけが男女の幸福な結びつきでないってことを、達者に描いていたのだが……大河のP…

『天皇の料理番』終わる

(原作未読) 縮こまったところのない、気持ちの良いドラマだった。 まことに若く小さな国でフランス料理と出会った悪たれが才能を開花させ、二代に渡って天皇に仕え、八十を超えて引退する。見事な男の一代記だった。 主人公に秀でた才能がなく野心がなく攻…

下半期一番の期待作

『神谷』と『64』に匹敵するレベルを見せてくれるかも、と期待しているのが、現代ドラマと時代劇の中間みたいな時期を対象とした夏の特別ドラマ『経世済民の男』3部作(NHK総合)である。 一番楽しみなのが、ジェームス三木脚本、オダギリジョー主演の『高橋是…

今年の時代劇ドラマ

今後はもう『神谷玄次郎捕物控2』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『ふたがしら』(WOWOW)NHK以外で――正確には朝ドラと大河以外のNHK以外で――唯一、質を追求できるチャンネルとして、時代劇にも挑戦してほしいけれど、新参者には無理か………

6月以降の現代ドラマ

今年はもう『64(ロクヨン)』超えはないと思われるが、少々興味をそそられるのは…… 『民王』(テレ朝)エンケン、もしかして『湯けむりスナイパー』以来の主演か? ゴールデンなんかより深夜枠のほうが質的にマシに決まっている。彼が総理大臣とは若干荷が…

5月29日BSプレミアム『風の果て』再放送スタート

藤沢周平原作。2007年は時代劇の当たり年だった。大河は『風林火山』でひさびさに質的に盛り返したし、木曜時代劇には『風の果て』があった。『蝉しぐれ』ほど格調高くなく、『神谷』ほどチャンバラはない。土木工事の計画立案から完了までの苦労とか、婿入…

『神谷玄次郎捕物控2』最終回『日照雨』

振り返ってみれば、パート2は悪い奴をふんじばってめでたしめでたしパターンが一つもなく、最終回もやりきれない事件だった。 「助けを呼ぶか?」「めんどくせ」は高橋光臣がかっこよかった。その後の「てめーらも獄門にかかりてえのか!」は山崎樹範がかっ…

『64(ロクヨン)』第5回『指』

D県 58万世帯 182万人 続いて公衆電話のアップ。 なぜ、人口だけでなく世帯数も出したのか、全話見終わってその重みがずしりと感じられる。そして公衆電話の意味も。 前回の台詞の「14年前の翔子ちゃん事件」を聞かせることで、視聴者にこれは14年間の物語な…

『神谷玄次郎捕物控2』第七回『小ぬか雨』

かっとなって毒婦を殺してしまった新七と、がさつな職人との結婚を控えたおすみの束の間の恋。こんな小ぬか雨が降る日には、惚れた男とすごしたひと時を思い出すのだから、おすみの人生も真っ暗ではないと語るお津世。薄闇に一つだけ火が灯っているような、…

『64(ロクヨン)』第4回『顔』

役者の柄や力量の問題もあって記者クラブの面々が他と比べて軽すぎるのが不満だったのだが、東洋新聞本社の記者として堀部圭亮が投入されたので、画面の重みといやらしさがぐっと増した。「サツにどんな教育してんだ」がまるで無自覚なヤクザだ。疑問点をま…

『神谷玄次郎捕物控2』第六回『鬼ごっこ』

今回は金田明夫がゲスト。飯富さん(金田)と馬場さん(高橋和也)が一緒に出てきて『風林火山』再来か!と期待したが、そんな場面はなかった。金田の控えめで渋い芝居を堪能した。 『神谷』パート2は第六回にして二度目の「悪党の密談を目撃した女が狙われ…

『神谷玄次郎捕物控2』第五回『神隠し』

小間物屋・伊沢屋の若い女房お品(宮本真希)が出かけたきり三日も帰ってこない。ところが番頭の庄七が銀蔵に相談した矢先、四日目にしてお品が帰ってくる。お品は家を空けた三日間の記憶が無いと言い、主人の新兵衛(渡辺いっけい)も、これは神隠しに違い…

『64(ロクヨン)』第3回『首』

この緻密に作られたドラマのカットを数えてみようとしたが、5分で挫折。シーンを数えることにしてみたところ、「あと3日」の字幕が出るまでの7分間で、回想される三上自宅、屋外、署内、雨宮宅が合計12、現在シーンが、広報室、屋外、署内廊下、階段で合計…

『64(ロクヨン)』第2回『声』

記者を前にしても、警務部にいても、刑事部に行っても、民間人のところへ行っても、家に帰っても、疎外感と板挟みのストレスをため込んでいく三上。第1回は視聴者が雨宮の地獄を追体験させられるような作りだったが、今回は主人公の四面楚歌&24時間サンドバ…

どっちが大河?

『花燃ゆ』第17回『松陰、最期の言葉』録画視聴。実質上の上三半期の主人公が退場したというのに、この感慨のなさはなんぞ? 主人公(仮)の文は、兄の論理を理解できなかったのはしかたないにせよ、情においても濃いつながりがあったようにも見えないのが困っ…

『神谷玄次郎捕物控2』第四回『密告』

前二回とはまたちがった方向のどんよりエピソードだった。いつもと毛色がちがうと思ったら、脚本が中村勝行、演出が酒井信行。玄次郎が脳内で謎解きする時間が長く、江戸ものらしい風俗描写に費やす時間が短かったが、たまにならこういう趣向もいい。ただし…

『千年の愉楽』(監督:若松孝二)

TVでノーカット放送を視聴。R15+相当扱いだが、扇情的な描写は避けられている。 紀州が生んだ鬼才・中上健次の代表作『千年の愉楽』を、若松孝二が映画化。舞台となったのは、眼下に美しい尾鷲湾を見下ろし、背後には紀州の深い緑が連なり、斜面に建つ趣ある…

『リキッド~鬼の酒 奇跡の蔵~』(2)『理想の酒』

大赤字を抱えた老舗酒蔵の一人息子が、蔵を存続させるために一念発起!すがりついたのは、「鬼」と恐れられた伝説の老杜氏だった。さまざまな思いが交錯するなか、追い求めた究極の一滴「リキッド」が流れ出るとき、起死回生の逆転はなるのか?(公式HP) ド…

『花燃ゆ』第16回『最後の食卓』

聞いていて納得できた台詞は、「見苦しく動き回るな」と「お前の叫びごときで意見が揺らぐ兄ではない」の二つくらい。どちらも中高年男性が文をたしなめるものだ。内野謙太の町人髷は似合いすぎである。すこししか映らない幼児も含めて、子役選びに優れてい…

『64(ロクヨン)』第1回『窓』

原作未読。原作(横山秀夫)、脚本(大森寿美男)、演出(井上剛)が傑作NHK土曜ドラマ『クライマーズ・ハイ』と同じ時点で傑作を期待していた。脚本家は昨年、極私的現代ドラマNo.1の『55歳からのハローライフ』も書いている。音楽はかっこいいけど『ロング…

『神谷玄次郎捕物控2』第三回『消えた女』

前回は"静"だったから、今回は"動"と予測したが、贅沢にさらっと演出した流れ星追っかけシーンとか材木置き場の大立ち回りとか、たしかにダイナミックな場面もあれど、ひと言で静とか動とか分類できない作りだった。窃盗事件につきまとう不穏な空気、お津世…

『花燃ゆ』第15回『塾を守れ!』

冒頭20秒はまるで大河ドラマのように緊迫感があった。なぜ日米修好通商条約に尽力した岩瀬忠震を出さないのだろう? この人と井伊大老の決裂を描くだけで大きなダイナミズムが生まれるだろうに……大河とBSの歴史番組の質にここまで開きがあるのはちょっと歪だ…

『かぶき者 慶次』第一話『石田三成の子』と『神谷玄次郎捕物控2』第二回『昔の仲間』

せっかくの藤竜也主演なのに、制作、原案、脚本が恐怖の『天地人』トリオとな。一話で挫折を覚悟して録画視聴した。渡辺俊幸のOPがまるで若干骨太な大河のようで、地面すれすれまでハードルを下げておくこともなかったかな、と思わされ、またナレーションが…

『花燃ゆ』第14回『さらば青春』

とりあえず、桂役の東山氏が座る動作だけでも時代劇のムードを出していたので、まるまる45分無駄にした気にはならなかった。中の人が苦手なこともあいまって、いつもプルプルしている小田村を消去したくてたまらない。松陰たちをなだめるのが、もっと上の役…

『神谷玄次郎捕物控2』第一回『出合茶屋』

昨夜は、あまたの欲求不満の時代劇ファンにとって、ちょいとした祭りであった。 惜しまれながら完璧な幕切れを迎えた『神谷玄次郎』なので、はんぱな出来では「こんなことなら続編なしのほうがよかった」などと言われかねない……が、そんなことはなく、心弾む…

『花燃ゆ』第13回『コレラと爆弾』

2月にいったん脱落したのだが、松陰が死ぬ回まで4回くらいは見るために視聴再開。 ネットでさんざん悪評を目にしていたので、"聞きしに勝る"とまでは思わなかったが、お金と手間がかかっていそうなセットにふさわしい物語が展開しないので、大道具さんがつく…

『デート~恋とはどんなものかしら~』最終話

ダビングしてもいいかも、と思えるドラマを1クール楽しませてもらった。最終話は、桜を見る二人と、目利きの間では比較的評判が悪いチビ巧とチビ依子の出会いの場面に、滋味のある寓話を感じた。 全話通して振り返ると、軽妙だった前半と比べ、最後2話は若干…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第9話

小ネタ満載で、ここ数回では一番笑えた。リピートしないととても全部理解しきれない。リピートの余裕はなく、この回の感想だけは最終回の前に書いてしまいたいので、いつも以上にうろ覚えな感想をば……。 結婚式の主役は誰と誰なのか、何度も脳内で予測を修正…

『デート~恋とはどんなものかしら~』第6話~第8話

第6話:演出がお初の洞功二ということもあり、また依子の隠された優しさが一つ浮き彫りになったこともあり、若干エモーショナルな色合いが濃い回であった。古沢キャストというと表面的なテクニックのみが取り沙汰されがちだが、松重豊、長谷川博己とも内面か…